今や手蕓の世界のみならず、若者からお年寄りにまで幅広く支持されている
「ボンド 裁ほう上手」?!袱膜堡搿工椤袱膜搿工趣いΔ蓼盲郡陇筏ぐk想の接著剤として、
さらなるポテンシャルを秘める「ボンド 裁ほう上手」の開発ストーリーを
開発擔當者の皆様に語ってもらいました。
東京FU?DIY部
商品の中身ができた頃にプロジェクトに參加。製品導入の指揮を執り、販売促進などに辣腕を振るった大ヒットを支える要の人物である。しかし、テレビ出演が苦手で體調を崩したというエピソードを持つリーダー。
浦和研究所研究開発第一部 第二グループ
當初からプロジェクトに參加していた初代取りまとめ役。技術面の責任者として、接著剤內容物の開発を指示するとともに、自身は容器の選定を擔當した。
研究開発第二部 第三グループ
當初からの主要メンバー。接著剤內容物の開発に攜わるだけでなく、デザインや販売促進などでも重要な役割を果たす。研究所勤務のスタッフ職であり、研究員をサポートする傍ら、これまでも多くの商品を開発しては結果を出してきた。
大阪FU?DIY部
入社後にプロジェクトに參加。テレビ出演も笑顔でこなすムードメーカー。一方で、根気のいるかばん作りのレシピを地道に開発したり、さまざまな使い方を提案するなど販売促進に大きく貢獻した。
東京汎用住宅部 金物グループ
初期からのメンバーであり、市場調査や分析などに冷靜な判斷が光る。自ら店頭に立って実演販売をし、また全國の展示會に參加して生の聲を集めるなど、大ヒットを底辺で支えてきた行動派。
「針?糸がなくてもかばんが作れる!」をキャッチフレーズに、2012年に登場した畫期的な手蕓用接著剤。手軽なことから、あっという間に年間100萬本を超える大ヒット商品に。定番の45gサイズだけではなく、コンビニ用の17gやヘビーユーザーのための120gなど、売り場や使い勝手を考えたサイズで展開しています。
2007年でしたか、研究部門と営業部門が集まって「手蕓ワーキンググループ(以下、手蕓ワーキング)」というものが始まりました。當時、コニシには手蕓用製品がなかったため、「仕様もパッケージもコンセプトも一から考え直していろんな製品を作ろう」ということで、市場調査をして製品を開発していきました?!弗堀螗?裁ほう上手」はその中から生まれてきた商品です。
ちょうどコニシでも女性の営業職が増え始めた時期で、それまで女性メインの會議はあまりなかったのですが、手蕓に関しては女性がメインになったんです。
手蕓屋さんにも足を運んで、どういうものがあればいいのか、本當にざっくばらんに意見を出しあいました。この手蕓ワーキングを始めてから、これまで出展していなかった手蕓の展示會にもサンプルを出すようになったんです。
狙った業界に応じた委員會を立ち上げて、自由に意見を出しあいながら進めるというのはコニシらしいね。
「ボンド 裁ほう上手」の開発のきっかけは、ある展示會でお客様の方から「ミシンの代わりに使える接著剤はないか」というご要望をいただきました。手蕓ワーキングでも市場調査した中で、お母さんたちが入園?入學グッズを作るという、ある一定の需要があることをつかんでいたんです。しかしそういった中、ミシンは家には無いし、手蕓はあまり得意ではないといったお母さんが増えていました。
その當時、入園?入學グッズ専門の通販の會社があって、手蕓の苦手なお母さんが増えているので接著剤でお弁當や上履き用のかばんをつくるという記事を出しておられました。でも、普通の接著剤ではあまり強度が出ないので、その會社から「コニシさん、何とかならないですか」って。
そこをみんなで深掘りしていきましたね。で、「かばんを作れる接著剤」という、それまでどこにもなかったコンセプトが出てきたんです。まったく新しいチャレンジでした。
これまでも人形のクラフト的な小物を「つける」ような布用の接著剤はあったのですが、かばんを「つくる」というものはなかったんです。接著剤の中身だけでなく、デザインとか容器とかもみんなで考えながら進めていきました。
私は途中から手蕓ワーキングに參加することになったのですが、女性からいろんな意見が出ていましたね。ただ私は手蕓のことがさっぱり分かりませんので最初は見ているだけでしたが(笑)。
「ボンド 裁ほう上手」は特にパッケージがかわいいです(笑)。通常、接著剤は工業用向けの製品が多いので、何となくガツっとしたデザインが多いのですが、この製品は「これが手蕓用なんや」と一目でわかるようになっています。
「ボンド 裁ほう上手」はお客様もコニシの社員も「うわぁ、こんなんできた」というもので、今までとは一つ違うものでしたね。発売と同時に、どんどん売れていきました。
入園入學の本がいっぱい出ていましたので、最初からわりと市場性はあるんじゃないかなと直感していました。そこを掘り起こせたと思います。
一番の課題って何だったのかな。
かばんを作るための最適な強度の設定でしょうか。コニシは接著剤の総合メーカーなので強度だけならばすぐに出せるんです。でも布に使うものなので、それが硬かったら風合いが損なわれます。風合いと強度のバランスが一番の悩みどころでした。それに布の種類によって接著剤の浸み込み具合も違うので、そのあたりのバランスが難しかったですね。
布自體が柔らかいものですから、硬ければ別物になるし、見た目も変わります。
そこで、いろんな成分を混ぜながら本當にたくさんの試作品を作って、それらの強度と柔らかさを細かく確認しながら、「これでいけるんじゃないかな」ということを探っていきました。
いろんな布の種類に対して確認してましたね。
研究所內で試してきたものを手蕓ワーキング內に持ち込んでは「これは硬い」「柔らかい」などメンバー全員で意見を出して詰めていきました。
もう一つ大事なことが、洗濯。
そうそう。毎日ひたすら洗濯してました(笑)。研究所に洗濯機を買っていただき、結局100日くらい洗濯しては干してを繰り返していました(笑)。
洗濯を何回したとかの耐久性のテストは、業界にないんです。
でも、テストがどうこうではなくて、本當に大切なのはお客様が普通に洗濯するんだということ。だから普通の洗剤でひたすら地道にやり続けて、50回くらい洗濯すると布の方が色あせてきて。接著面は大丈夫なのに、ほつれてきたり(笑)。
研究所に行く度に洗濯していましたもんね(笑)。
正の字書いて、何回も(笑)。それ以外にも重りを入れてずっと吊りっぱなしにして、本當に大丈夫かな、という別の視點からも耐久性のテストもしました。
布の種類によって、どれだけくっつくかも。
布といっても絹とか、ウールとか、合成繊維や混毛等もありますし。いろいろと布屋さんで買ってきては、ひたすら強度を調べました。
お母さんが簡単に作れて、そして洗っても大丈夫という所をしっかり抑えたつもりです。
お母さん方お一人お一人洗い方もそれぞれでしょうし、布がくっつくといえば、どんな布でもくっつくだろうと思われますので。できる限りお母さんの使いやすさと仕上がりが満足いただけるようこだわりました。
「針と糸がなくてもかばんが作れる」という、パッケージのキャッチコピーにも苦労しましたね。
文言をみんなで考えたというか、もめたというか(笑)。今までのコニシなら、布用とか皮用などの用途か製品名を書きます。ところがこのパッケージには製品名は書いていなくて、容器にしか書いていない。しかも「針と糸がなくてもかばんが作れる」と、これも用途ではあるのですが、いざ出す時になって、〇〇用ですとか、〇〇に使える、じゃないとお客様が分からないのでは、という意見が出たんです。
こちらからの提案のような使い方をパッケージに入れていいものかどうか、という意見です。
そこで市場調査をして、これでいいのかどうかお客様にも聞きましたし、手蕓ワーキング內でも議論しました。
最終的には、市場を作るというか、需要を掘り起こすという意味で、これにしようと。ちょっとチャレンジングな意味合いの商品コピーになりましたね。
議論は熱くした記憶があります。一カ月か二カ月。ここはこの商品の肝だったので。
「ボンド 裁ほう上手」というネーミングはわりあいすぐに決まりましたね。ただデザインはこだわりました。これまでのコニシらしくない感じです(笑)。
「ボンド 裁ほう上手」の文字を明朝體にしたんです。若いお母さん相手だったら、もっときゃぴきゃぴしたものがいいんじゃないか、など意見があったのですが、當時デザインを擔當した営業の女性が、主婦で子どもさんもいらっしゃって、「そうじゃなくて、これなら私でもうまくできるんじゃないか」と思わせるためにわざと少し堅いイメージにしたい、というこだわりがありました。
ピンクもそうなんですね。ショッキングピンクとか、明るいピンクが多いんですが、落ち著いたピンクにしているんですね。きゃぴきゃぴするより、落ち著いたピンクにして明朝體とあわせることで安心感があるので良い、とこだわっていました。たぶん、その擔當の女性営業の子どもがちょうど幼稚園に行くという世代で、ご自身の経験もあったんでしょうね。
実際のところ、手蕓ワーキング內でいろいろやっているより、幼稚園などの現場で「ぴったり合ってるわ」というお母さんたちの聲を聞いた時に「これは売れるんだろうな」と実感しました。問題は、「ボンド 裁ほう上手」というネーミングで、しかも女性向けのデザイン。このようなものはコニシではあまりなかったので、上層部からなかなか承認してもらえないのではないか、という不安がありました。
しかし、手蕓ワーキングで懸念事項を一つ一つ議論し、改善してきたことが経営陣にも伝わって、信頼になっていった感じですね。そういう意味で「ボンド 裁ほう上手」を市場に出す時は、思っていたよりスムーズでした。
やはり主婦目線というのが良かったですよ。実際にお子さんのいる人間が、こういうふうにしたらこう売れる、というしっかりしたプレゼンテーションをしたことが一番伝わりましたね。
発売したらすぐテレビに取り上げられて、「ボンド 裁ほう上手」が販売店さんの店頭からなくなったくらい売れ過ぎました(笑)。欠品しましたね。
僕はすごく緊張するタイプなので、テレビ出演は大変でした。松尾さんは大丈夫なタイプです(笑)。
私が大変だったことはかばんのレシピ作り。まったくゼロベースからですから。
手蕓屋さんに行って布を買うと作り方のレシピを貰えたりするのですが、じゃあ「ボンド 裁ほう上手」の場合、誰が作るんだという話になって(笑)。
坂本さんしか(笑)。
え、私?という感じで(笑)。でも、かばん、作ったことないですし、一研究員ですもん(笑)。とにかく、かばん作りの資料を読み漁り、何とか一つレシピを作り上げホームページに載せました。一つできたら「もっと作ったら」となってティッシュカバーなど作りました。
最初が一番大変でしたね??pい方の本とか見ながら、頭の中でここに接著剤をつけるとこういうふうにできると想像して。お客様は接著剤でかばんをどう作るのか、最初はわからないですし、とにかく必死でした。
そのレシピを使ってお店に行って実演販売もよくしました。私の場合は、「これを作ってみましょう!」と、店頭に立って相當アピールしましたね。それに、全國各地の手蕓の展示會にも講習や販売を兼ねてみんなで行きました。立ちっぱなしで大変でしたが、いろんな聲をいただき、今も大事にしています。
私の部署では販売店さんで「ボンド 裁ほう上手」の売り場コンテストもしています。地道ですが、こういう草の根的な活動をずっと続けています。
それと意外にお年寄りの購入者も多いです。お年寄りになると針への糸通しが苦手になる方が多いので、これは便利だと。
老人ホームの職員の方も買っていかれます。おじいちゃんおばあちゃんのレクリエーション用に。針はお年寄りに危ないので、「これはいいわぁ」と。
翌年かな、コンビニエンスストア用に小さいサイズも作りました。売り場スペースに合わせて。
コンセプトも「針と糸がなくても裾上げができる」に変えて。そうすると男性も買うだろうと(笑)。
他にも手蕓関係のヘビーユーザー向けに大容量タイプも作りました。
良いと思ったら、そこを目指してすぐに行動できる。コニシらしさが出たところでしょう。
手蕓ワーキングのような委員會の中で、私は研究員ですけれど、デザインとか、売り方とか、レシピ作りとか(笑)、部署関係なくいろんな経験ができて、苦労というより楽しかったですね。
チャレンジがたくさんありましたが、社內の雰囲気も連攜の感じも、すごくいい感じで進んでいったのかな、と思います。
昔からそうですが、コニシはいろいろやらせてくれますね。ですから若い人が意見を出していった方が時代にあうと思います。そんな新鮮な風が吹き込んで、また新しい商品が生まれてくるんだと思います。